金融緩和を期待しながら株価がジワジワ上昇する局面を「金融相場」と呼んでいる。
しかし、期待したほどの利下げ幅でなかったり、経済対策の規模が小さかったりすると、株価は「織り込み済み」というわけで反応しない。
それどころか、へ夕をすると「失望売り」の事態を招くこともある。
した投資家は、株価が下がる前に保有株を売って損をしないようにする。
このため、それまでの買い一色で上昇し続けた株価は、上昇率が次第に鈍くなり、大天井(ピク値のこと)を打った後、下落局面に入るのである。
景気と同様に「調整局面」などと呼ばれるが、一度下がり始めると、あわてて売りに出る投資家が多いため、株価は下降スピドを速めるケースが多い。
このように、景気のそれぞれの局面のいずれにおいても、株価が景気を先取りして動くことがわかる。
ごく大ざっぱにいって、景気の山・谷より半年から一年ほど早い、といわれる。
ただ、株価は景気以外の要素で上下することも多いので、それが景気を先取りした動きなのか、投機筋などによる人為的な動きなのか、判断できないことも少なくない。
鯉「平成不況」で、財政出動や金融緩和が何度も行われたにもかかわらず、株価がなかなか回復しなかったのは、投資家が「これで景気は回復する」と確信を持てなかったためだ。
そうこうするうちに、九七年の大型金融破綻に至り、株価は坂道を転げ落ちるように下がり続けたのは記憶に新しい。
次に、景気が回復して企業の業績が良くなると、今度は株価の下がる心配も少なくなるので、投資家の数も増えて盛んに売買するようになり、株価はグングン上昇する。
時には余ったカネが大量に市場に流れ込み、GDPなど実体経済の伸びを上回る伸びを記録することも珍しくない。
その後、景気が過熱してインフレの心配が強まると、政府や日銀は財政を緊縮し、金利も上げて景気を冷やしにかかる。
それを察知具体的に見てみよう。
景気回復期における典型的な例は、「四十年不況」である。
一九六五年五月に山一護券の危機を日銀特融で救済した後も株価は回復せず、七月に平均株価は一〇〜二〇円の大底をつけた。
ところが、その二週間後、戦後初の赤字国債の発行決定という財政出動が発表されると、株価は急反発に転じた。
十月には景気も回復し、戦後最長の「いざなぎ景気」を迎えたのである。
これは戦後経済史の中でも劇的な景気転換だったが、この時、株価は景気より三カ月ほど先行したのである。
逆に、景気後退期における典型例は、やはり九〇年初の「バブル崩壊」であろう。
八九年の大納会で、平均株価は三万八九一五円の史上最高値をつけたが、年明けから下落に転じ、円安、債券安と合わせて「トリプル安」の様相となった。
同年十月には一時的に二万円を割り、翌九一年七月、日銀は公定歩合を四年半ぶりに下げた。
「バブル景気」の山は九一年二月だったから、この時期の株価下落は景気より半年ほど先行していたわけだ。
また、九八年十月、平均株価はバブル崩壊後の最安値一万二七八七円をつけたが、その後の大掛かりな景気対策、金融対策によって持ち直した。
九九年の第1・四半期あたりが景気の谷と見られており、その場合も半年ほど株価が先行したことになる。
このように、株価の持つ先行性はどの景気循環の時にもほぼ表れているが、問題は実体経済と必ずしもリンクして動くわけでもない、という点である。
好例は「列島改造ブーム」のころ。
七一年末の平均株価は二七〇〇円だったが、七二年七月に登場した田中内閣の「日本列島改造論」を歓迎して急騰。
一年後の七二年末には五二〇〇円、七三年一月には五三六〇円のピクに達した。
一年間余りで二倍になるという〃棒上げ″だった。
これに対して七二、七三年度の名目成長率は一四・七%、一二・八%・実質成長率は九・一%、五・一%だった。
すさまじい〃インフレ列島〃になったのだが、株価はGDPをさらに大きく上回って上昇したのである。
この時は、地価も猛烈に上昇する資産インフレが起こった。
資産インフレが起こった理由は、当時の対外黒字と金融緩和を背景にした過剰流動性のため。
カネ余りが株式や土地に向かい、株価の上昇に歯止めがかからなくなり、風船のようにどんどんふくらみ続けた。
いずれはパンクするわけだが、どの辺が限界なのか、その当時はだれも確信を持てなかった。
これとほぼ同じことが、八〇年代後半の「バブル景気」にもいえるのである。
そうした株価も、バブル崩壊後の長期低迷期に入ると、「先見性が失われた」との指摘が出ている。
「PKO」と呼ばれる政府の株価テコ入れ、銀行と企業の株式持ち合いの解消、ヘッジファンドなど国外資金による市場撹乱など、これまでにない政策や現象が次々と出てきたためだ。
しかし、長期的な株価の動きは実体経済とリンクしており、景気の判断材料の地位を失ってはいない。
住宅投資、その動向をどう読むか〜〃ウサギ小屋〃などと郷捻されるわが国の住宅事情。
敗戦後の絶対的な住宅不足は、一九六八年に住宅数が世帯数を上回り、一世帯一住宅が実現、一応、戸数では充足されたことになった。
四四三三万戸に対して総住宅数は五〇三一万戸で、全国的に見ると「住宅が余っている」状態は続いている。
しかし、広さ、環境、機能など質の面ではまだまだ経済大国というもおこがましい状態だ。
そこでより快適な使い方を求める住宅需要はまだまだ根強いものがある。
瀞犠黙藻輔出鰹輔政府はこの強いニーズに着目し、不況の時は金利を引き下げ、住宅金融公庫などの資金を拡充して住宅投資を促進し、景気対策に役立てようとする。
一件あたりの金額が大きいだけに、住宅建設の動向は景気を読むうえで大きなポイントの一つである。
現在、「民間住宅」は実質GDPの中で四〜五%程度(九五年四・九%、九六年五・三%、九七年四・二%、九八年三・八%)を占める構成項目。
過去、わが国の住宅新築着工戸数の最高記録は、昭和四十七年度の一八五万六〇〇〇戸であった。
しかし、床面積ではしばしば当時増やすためには絶対の条件である。
日本では長く地価は継続的に上昇し、業者の開発意欲を高めて、駆け込み的な需要が盛り上がることが続いた。
無理しても早くマイホームを取得した人はインフレ利得を得ることができた。
だが、バブル期のように地価があまりにも高騰すると、マイホームを諦める人が増え、需要はしぼんでしまう。
当時、高級乗用車ブームが沸き起こったのは、土地成金だけでなく、マイホームを諦めた人が貯金を高級乗用車に振り替えたからだといわれた。
バブル崩壊後に地価が急ピッチで下がりはじめると、バブル時代に購入を諦めていた層が住宅を買えるようになり、住宅着工件数は一九九一年度をボトムに九六年度まで増加基調(九五年度だけ減少)をたどった。
しかし、躯の水準(一億三三九二万七〇〇〇平方メートル)を抜いている。
住宅の質的な向上につれて一戸当たりの面積が増加し、それにつれて投資額は大幅に増加しているわけだ。
住宅建設に影響を与える要因としては、まず、地価、建設資材の価格、所得、融資条件(金利、期間、融資量)などがあげられるが、この中でとくに地価が大きな影響力を持っている。
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